告白

 

 

気づいてしまえばもう、坂道を転げ落ちるばかり

 

 

「やっぱこれはさ、恋だと思うんだけど」

ガラステーブルに肘をついてザックスは偉そうに言葉を発す。

対するセフィロスはそれを聞いて不機嫌そうに片眉を持ち上げた。

「うん。俺はお前が好きだし、抱きたいと思ったこともあるし、

それはやっぱり恋なんじゃないかと俺は考えるね」

「待て。今お前は何と言った。抱きたい?俺を?」

「他に誰がいるんだよ。ってか前に言わなかった?俺お前にキスしたいって」

「その言葉は聞かなかったことにしてやるからさっさと現実に戻れ、ザックス」

「いや俺はまともだって」

セフィロスの飲み干したコーヒーカップを片手に持ってザックスは立ち上がる。

キッチンに消えるその後ろ姿を目で追いながらセフィロスは「俺はお前が正気だとは到底思えないのだが」と呟いた。

振り返った彼はまっさらな太陽を思い返させる笑顔を浮かべていた。

彼の故郷はきっと、同じような顔で笑う人々で溢れているのだろう。

セフィロスは眩しいものを見るようにすうっと目を細めた。

「俺はさ、お前にキスしたいとかそれこそ抱いてみたいとかいう気持ちはあるけど、それを抜かしてもやっぱり恋っていいものだと思うんだよ。

誰かを思ってドキドキしたり、キュンってしたりさ」

 

いい年をしてドキドキだのキュンだのといった言葉を使うなとセフィロスは思うものの、ザックスの声がかつてない程柔らかだったものだから

彼は黙ることによってその先を促した。

「恋ってさ、苦しかったりするけどそれ以上に幸せになれるはずなんだぜ?俺は実際お前に恋したって気付いたらすっげー幸せになれたもん」

晴れやかに笑う男の顔が暖かな光に照らされて益々鮮やかなものとなる。

何も答えない想い人にザックスは目尻を下げながら口にした。

 

「だから俺は、お前も恋してくれると嬉しい。それが俺ならもっと嬉しい」

 

猫を連想させる魔晄の瞳が一瞬、揺らいだ。